新刊「米子市公会堂」発刊される!
前回 お伝えしましたが 引き続き 7月26日締切 28日の追加提出に向けて
「米子市公会堂の存続と早期改修を求める署名」を募っていますので よろしくお願いします!
そのような中 建築系同人誌を多数発行しておられる くむるすさんが
冊子「米子市公会堂」を出版されましたので お伝えします!
詳しくは くむるすさんのブログ「蒼天青雲は何やってんの。」にもありますが
くるむすさんの写真と 近代建築史を専門とされといる 米子高専の藤木先生の
緩くて分かりやすい解説(1年前のブログ記事を加筆訂正:前編・後編)とのコラボ作品です!

7月19日(祝・月)には 建築家村野藤吾の研究の第一人者 石田教授を招いて
「公会堂をもっと知ろう会」が開催されますが その前に予習も兼ねて 内容に迫ってみます。
表紙は グランドピアノを象徴する鍵盤部分?いや反響版の先端?のアップ!
そして・・

中身の大半は 米子市公会堂の協力も得て撮影された 圧巻の写真の数々!
こんなブログで掲載するには場違いなほど オリジナルのクオリティは凄いようです。
(画像クリックで拡大しますが オリジナルには遠く及びませんので 悪しからず)
まずは グランドピアノを彷彿とさせる 側面写真!
左手のステージから 右側の客席が階段状にせり上がっていくという内観を
そのまま外観としてデザインし その浮いた下部を ホワイエとして活用するという
ホール建築で名高い村野藤吾作品の中でも 過去に無い(1958年当時)手法で解決を図った
珍しいもの!
外壁の細かいタイルは 地元産の粘土から作成したタイルだそうで
石州瓦にも似たその風合いは 冷たくなりがちなモダニズム建築にあって
その後の建築界でブームとなった ポストモダニズムへと通ずる温かみを感じさせます。
村野氏の鋭い目に映った先見性・・・ それが「米子市公会堂」に映っていた・・・
ようにも思えてならない。と藤木先生も述べておられます。

ステージから見た客席も 3階奥まで生音が気持ち良く鳴り響くという 納得の音響空間!
米子コンベンションホールは 2,000人収容ですが 生音が最後席まで届かないらしいので
アコースティックなのに マイクを通さざるを得ないとのこと。
やはり 多目的ホールと専用ホールとの違いでしょうか?
演奏するならココ!と言わしめるのも 村野氏ならでは???(笑)

側面から見た客席では こんなに格好良かったっけ?
と記憶をも上回る迫力と美しさで 迫って来ます!
天井の波打った反射板は 1980年の大改修時に取り付けられたはずです。

そして 研ぎ澄まされた合理的な空間が ブラジルの教会にも通じる?
と藤木先生も感じた 客席下の空間を巧みに利用したホワイエ!
長さの違う蛍光灯を重ねて オリジナルの照明器具とした所にも 類稀なセンスを感じます。

そして このドア把手のデザインや 階段の手すりのディテールの細かさ!
村野氏が ディテールを検討する時には原寸図を描くと聞いてましたが
実際に 公会堂に保管されていた原寸図のゲンブツを見て
藤木先生 大いに感動されたそうです。

そして 裏表紙を飾るのは 何の関係もないと思っていた交差点近くの池の中央の彫刻!
辻晉堂氏という地元鳥取出身の彫刻家の作らしいのですが 地元出身だから・・
かと思うと さにあらず!
米子市公会堂以前にも 既に「横浜市庁舎」でも村野氏とは共作をされてるようで
同時代多かった 丹下健三氏と猪熊弦一郎氏といった 建築家と芸術家のコラボレーションを
村野氏も辻晉堂氏をパートナーに行っていたとは 藤木先生的にも新たな発見だったようです。
そう思うと、この米子市公会堂には1958年竣工時のディテールと
1980年増改修時のディテールが併存している…
つまり新旧の「村野好み」が共に生きているということになる。
併せて竣工時のデザインを崩さずに施された増改修もまた
米子市公会堂の「オリジナル」を伝える部分と見て差し支えないだろう…
こ、これは!!とにかく希有なケンチクさんダ・・・と、改めて深く思った次第です。
と 藤木先生も結ばれています。
かように 米子市民の心の拠り所でもあり 中心市街地のランドマークたる米子市公会堂!
その愛される所以は このような村野藤吾氏のケンチクならでは!の部分が大きいと思います。
ぜひ 7月19日(月・祝)14:00~開催の「公会堂をもっと知ろう会」にも参加して
皆で米子市公会堂の魅力を 再認識しようではありませんか!
by lancista | 2010-07-16 01:40 | YONAGO Public Hall