日本公共建築百選「米子市公会堂」存続の危機!

私が幼い頃から慣れ親しんできた 米子市公会堂が 今 存続の危機に瀕しています!

私が生まれるより以前 市制30周年を記念して 1958年に建てられた市立の公会堂。
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この米子市公会堂の建設にあたっては
「一世帯が毎日一円を貯めて公会堂を!」という 市民運動が盛り上がり
1.8億円近くの建設費のうち 3千万円余りを募金でまかなったという
当時の市民の 関心の高さがうかがわれるエピソードが残っています。

詳しくは ドはドングリのドさんのブログ「米子市公会堂の生い立ち
に貴重な当時の記事がありますので ご一読下さると幸いです。

1958年(昭和33年)と言えば 初任給で比べた貨幣価値は25倍とも言われ
現在の金銭感覚に直すと 総工費約45億円 うち7.5億円が市民の寄付。
現在の米子市人口15万人で割ると 一人当たり5,000円となります。
4人家族の世帯なら 20,000円ですね。熱いぞ 当時の米子市民!

今 昔の米子に勢いがあった頃の気質であるダラズ=DARAZ
(何でも真っ先に飛び付いて 突拍子もないことをしてしまうが どこか憎めない)を
米子人文化として 原点に返って取り戻そうという運動もありますが
その当時の気運を彷彿とさせる 素敵なエピソードですね。

しかしながら その米子市公会堂が
平成21年に行われた耐震診断によりIs値が0.15しかなく危険だとのことで
今年の9月末をもって 1120名収容の大ホールは使用中止!となるそうです。

米子市内には 他にも 700名弱収容の「米子市文化ホール
2000名収容の県立「米子コンベンションセンター BIG SHIP」があるので
米子市公会堂は無くても良いから 取り壊そう!
などという 乱暴な意見が出ないとも限りません。

いやいや 「米子市の音楽ホール事情」によると 米子市だけが潤沢にホールがある訳ではなく
鳥取市&松江市ともに 2000人規模(大) 1000人規模(中) 500人規模(小) とあります。
鳥取市に至っては 小が2つもあり 米子市だけ特別ではないようです。

しかも・・



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米子市公会堂の魅力は それだけでは無いのです!

大規模の「米子コンベンションセンター」は イベントでの展示場や会議も行われる複合施設。
米子市公会堂は コンサートや演劇での音響を考えて作られた専用施設です。
ステージに立つ演奏者の方々の声を聞くと 演奏してて気持ち良さが違う!
と口々に言わしめる程の 音響設計がなされた専用ホールです!

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それ以外にも 丹下健三とも比較されるほどの建築家「村野藤吾」が設計し
日本公共建築百選にも選ばれた
近代建築史を飾る代表的なホールでもあります!

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この記念碑は 鳥取県の建築100選のもの!

村野藤吾が その設計に携わる頃 南米を旅行した際に見たブラジルの教会と
グランドピアノのイメージを重ねたものとされています。

一見 華美な装飾はないものの
客席を持ち上げるキャンティレバー柱梁の曲線や オーディトリアム屋根の連続する曲線など
村野氏独特のデザインが控えめながら現れており 戦後モダニズムの空気が漂う
当時を偲ばせる 大変貴重なものです!

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この米子市公会堂ができる以前は 旧県立米子西高校の講堂等で
観客は 折り畳みパイプ椅子や地べたに座り 演奏を聴いていたそうです。
それが 中国地方随一の規模を持つ米子市公会堂を持つに至ったのですから
当時の米子市民の文化度と誇りとは いかばかりか
かなりのものだったことでしょう。
 
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と ここまでは 一般の観る&聴く側の米子市民(米子市周辺住民含む)の感情でしょうか。

演奏や演劇をされる側での感情は あいにくその方面の才能は無いので
私は直接知る故もないのですが 私の個人的な思い入れは 別にあります。

私の母の実家が この米子市公会堂の50mほどの近所にあり
幼い頃 保育園は朝日町のど真ん中 昼間はおばあちゃん家に預けられていました。

そのため 良くこの池で 近所のプラモデル屋さんで 買って組み立てた 木製の船や
戦艦やボートのプラモデルを浮かべては 友人達と競争で走らせ
真ん中の噴水にぶつかったり 波を被ったりして沈んでは
ズボンを捲くり上げて池に入り 亀に突かれ(笑) 船を拾った思い出の場所でもあります!

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それ以外でも 米子市公会堂を特徴付けている 外に張り出した柱の列を使って
近所の子供たちと 鬼ごっこ!に かくれんぼ! だるまさんが転んだ!に興じたものでした。

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この石造りのベンチに座って 私ら子供達を見守ってくれていた
おじいちゃんやおばあちゃん たまには? お母さんやお父さんの姿が
昨日のことのように 目蓋に焼き付いています。

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力強く並んだ列柱が 見事ですね。昔は コンクリート打ちっぱなしの灰色でした。

樋が天井の真ん中あたりから出ているのは その上の部分が
屋上テラスになっているためです。危ないからなのか
子供の時に そこに立って以来 大人になってからはテラスへは出た記憶がないです。

この外天井へ向かって 子供ながらにボールが届くか 良く投げ合ったものでした。
昔は 天井にボールの跡が無数に付いていましたが 今は無いですね。
もう ここは子供たちの遊び場としては機能してないようです。
市内中心部に子供が少ないのも関係してるのでしょう。。。

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外壁が 音響効果を考えて作られた内壁そのままに
緩やかにカーブを描き 繰り返しているのが しっかりと見て取れます。

珍しい 赤茶の細かいタイル貼りも 当時はさぞモダンなものだったのでしょう。

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この外階段や 低めの2階デッキも 格好の遊び場でした。
現在は 危ないので 使用禁止の綱が張ってありました。
今の子供は 外での遊び場が減ってしまって 寂しい限りですね。

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内部の雰囲気も 昭和モダンなテイストを残して 往時を今に伝えます。

この照明や 階段の手すり ドアノブに至るまで 村野藤吾が設計してたそうです。
魂は細部に宿るを実践して 手抜かりなく 詰めも完璧ですね。
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今までの米子は 近隣の城下町 松江市や鳥取市に比べ 昔の物を大事にしないというか
古いものを捨て去り 新しいものに飛び付いて発展して来ました。

高度経済成長時には それでも良かったのでしょうが
これからの循環型社会では 箱物には そうそう予算は付きませんしお金も掛けれません。

まして 米子市の財政状況は 一時期に比べ大分ましになったとはいえ
健全レベルには まだまだ遠い状況です。

そのような中 今までの米子人気質&市民感情なら 建て替えてしまえ!だったのでしょうが
懐事情もままならず 取り壊して売却だ!などともなりかねません。

しかし 市内の中心一等地を民間に譲ってしまっては
未来永劫 そこに何が出来るかの保障は難しいです。
そのことの危険性は ドはドングリのドさんのブログ
「米子市公会堂の土地を民間売却??」
「続・米子市公会堂の土地を民間売却?」
にもありますように 長い目で見て考えねば 取り返しの付かないことになります。

今までの米子は そのように過去を捨てて生きて来ました。
しかしこのままでは 全国どこにでもある金太郎飴のような地方都市に成り下がってしまいます!
そのような街に 誰が魅力を誇りを感じるでしょうか?
子供たちに この街の魅力として シンボル無くして 何を伝えれば良いのでしょうか?

ぜひ 我々米子市民の心のランドマークともいえる 山陰歴史館(旧米子市役所)と
この米子市公会堂だけは 残して欲しいのです!
捨ててしまってから シマッタでは もう取り返しが尽きません! 

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たまたまでしょうけど 今回耐震診断を行った業者の耐震補強改修見積もりも 約8億円とか。
昭和33年当時の貨幣価値を 現代に換算した寄付金額7.5億円に近いものがあります。
水回りや空調といった設備の現代化には さらに5億円が必要で 計13億円が必要とのこと。

しかし 取り壊して新築すると この何倍ものお金が必要なことは明白であり
そのような体力は 厳しい地方財政 中でも米子市には残っていないのが現実です。

ですが 耐震性能評価も簡便法で多角的に行われていないといった声も聞こえてきます。
従って 複数の業者に耐震診断を行わせ 精査していく中で Is値も動くかも知れません。
何より あの平成12年の鳥取県西部地震で 何も起きなかったという事実もあります。

そうすると 改修費用も まだ変動する可能性を秘めています。諦めず見守りたいものです。

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以上 客観的な視点と 個人的な視点
交えながら書き連ねましたので 混乱させたかもしれません。

しかしながら 一生涯 松江や鳥取まで足を運んで コンサートや演劇を見に行くことを考えると
米子市内に そのような文化的な場所があることの意義は大きいと思います。

もし 心に響いて 米子市公会堂 残して欲しいなぁ と思われた方は
米子市公会堂の存続を求める署名活動」にご協力いただけると幸いです。
米子市在住の方だけでなく 観客として足を運ぶ近隣在住の方も
演奏で全国を飛び回っておられる方も 名建築として残したい方も
日本中 どなたでも構いませんので ご協力いただけると嬉しいです。

6月末を 一応の締切とされており 時間がありませんが ご協力いただけると喜びます。
日本海新聞によると 6月21日までで 1万3000人の署名が集まったそうです。
ですが 目標の5万人にはまだまだ足りていません。
米子市公会堂を残すために 是非とも よろしくお願いします。

by lancista | 2010-06-24 01:04 | YONAGO Public Hall  

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