おは御津(ポルシェ912試乗編)!
おは御津会場である 快適至極のOLD BOY駐車場で
ウダウダと喋りに興じておりましたら バサバサッと聞き覚えのある排気音で
濃い緑色も素敵なナローポルシェが 駐車場へと入って来るではありませんか!
ここOLD BOYを主宰するオーナーさんであるとは その時は知らずに
これって(ポルシェ)912ですよね!
私も昔 旧いビートルに乗っていまして 356や912は憧れだったんですよ!
などと 話しかけたら 運転してみる?と嬉しいお返事!!
怖いもの知らずと言うか 憧れのポルシェ912とあって こんなチャンス逃してなるものか!と
キーは車に付いてるからどうぞ! との言葉を額面通りに受け取り(汗)運転させてもらいました。
その昔・・
通勤は原付タクト50 週末はバイクSRX-400 でも雨の日やデートには車が必要!
とのことで 21歳の誕生日に納車された 1964年式ビートル・タイプ1は
もともと ショーカーとしてコンクール・デレガンス狙いで セミレストアを受けたらしく
電源は6Vのまま 車高はペッ短ペッ短 フロントウィンカーさえ最初は付いてなく(涙)
数ヶ月 手信号で凌いでましたが いよいよ耐え切れなくなり
この角(ツノ)タイプのウィンカーは 後から付けてもらったもの!
リアも 50年代の小ぶりのテールランプに変更され ウィンカーを点滅させる時は
ブレーキランプを点灯させると 分かり辛いので ブレーキは交差点前に済ませておく
必要があった(汗)という 車初心者マークの私には高めのハードルで随分鍛えられました!
時はバブル前夜 1986年末~1988年初頭の1年数ヶ月の初めての愛車でしたが
ディスコチックなファッションは置いておいて(汗) とっても思い出深いビートルなのでした!
そんなビートルオーナーが考える最終目標は ポルシェ356!中でもAタイプが憧れでしたが
車を奥深く分かって来るにつれ Cタイプも良いよなぁ ってことは912って実はベスト???
などと また別の見方も出来るようになって来た40歳代 こんな偶然に感謝しながら
シートに腰掛け 苦手な下から生えたクラッチを踏み込み シフト位置を確認します!
ポルシェシンクロって やっぱ分かり辛いよなぁ でも昔のビートルのシフトよりは節度あるなぁ
と旧い記憶と感触を思い出し 比較しながら 左下ローのレーシングパターン5速を確認!
そしていよいよ ダッシュボードはハンドル左下にあるエンジンキーを捻ります!
すると 硬質な高周波のエンジン音を伴いながら あっけなくエンジンは掛かりました!
私のビートルは オイル管理が悪くメタルが焼き付き(涙) エンジンをOHするなら
せっかくなのでと 当時は腕利きと評判の倉敷の岡崎車輌でOHした際
エンジン音が バサバサ系からキンキン系へと 堅組みされた クリアランスの少ない音に
変質しましたが その音を彷彿とさせる 締まった硬質音に期待は高まります!
なるべく3000回転以上を使って レッド6000超えても良いよ!との言葉に半分ビビりながら
恐る恐る出発です!
国道53号線に出て 流れに乗るには2速3速で十分で 3~4000回転を保ちます。
ちょっと踏んだだけで スッと車体が前に出る 軽量ボディとレスポンスの良さを感じながら
中速域の 足の裏とリアエンジンが直結した具合に フムフムと納得しながら前車に追走。
そして ビートルから派生したフロアとは思えぬ桁違いのシャシー剛性感と
段差やうねりを乗り越えた際の 素直な足回りの追従性に
ペッタペタのビートルとは 隔世の感があるなぁ(当たり前ですが)と 感激!
とても1968年式とは思えないボディ剛性感に 先日の同じ年式のフルヴィア・クーペを思い出し
やはり 当時の欧州老舗メーカーは 凄いなぁと改めて思うのでした。
国道を外れ OLD BOY工場前の道路で 前が開いたので踏んでみました!
すると リアがグッと沈み込み トラクションが掛かって加速する様はバイクを彷彿とさせます!
ゼロ発進から 遠慮なく(汗) 2速でレッドにぶち当てるとこまでフル加速を試みましたが
それはもう楽しいというか その昔運転させてもらったポルシェ914のエンジンフィールと同じく
滑らかと言うよりは ボクサーエンジン特有の 打ち消し合う振動を鼓動(ビート)に変えながら
緻密な濃密感を伴って 吹け上がって行くとともに トルクがフラットに押し寄せて来て
推進力へと変わり リアから車体をリニアに押し出して行きます!
詰まるところ ポルシェは4気筒でも6気筒でも この駆動系フィーリングは唯一無二で
RRならでは 水平対抗エンジンならでは さらにエンジニアリングの妙で 高濃度なのかと!
ポルシェにやられたら最後 もうポルシェしかない!とは頷ける話であります。
なんて 運転してる時には そんな冷静な分析も出来るはずもなく(笑)
ただただ これは4輪のバイクだ!とか
ビートルだと フロントの接地感が乏しかったのに なんてインフォメーションなんだ!とか
6気筒ターボだと怖くて踏めなかったけど これなら使い切れるかも?などと
人の車だと言うのも忘れるほどに 飛ばせば飛ばす程 ボディが小さく感じられる一体感に
理性と誘惑の狭間で 感情を抑えるのに必死でありました!
OLD BOY駐車場へ戻ると オーナーさんは優しく迎えて下さり どうでした?の言葉に
何を喋ったか キチンとお礼を述べて感謝が出来たのか 興奮の余り覚えていませんが(汗)
やはり 加速感(エンジンの吹け上がり)がポルシェの真骨頂なんだな と改めて思います。
この個体は もともと1600cc(ノーマル90ps)の排気量を 1700ccオーバーまで
シリンダーキットを使いアップしてあるそうで ウェーバーのダウンドラフトとも相まって
レスポンスの鋭さと トルクの盛り上がりが印象的でした!
900kg台だという 軽量な車体と紡ぎ出すダンスは 征服欲に駆られる6気筒とも違い
もっとライトに それでいて使い切る爽やかさを何時でも味わえる 快楽マシーンでした!
この現代車が失ってしまった リア下がりのクーペスタイルも 素の美しさに溢れています。
乗って良し 眺めて良し いつかはこんなスポーツカーをガレージに収めてみたいものですね。
イタリア車ばかりで忘れかけてた(笑) 私の車趣味の原点を思い起こさせてくれた
今回試乗させていただいた ポルシェ912!
良い歳を取って似合う人間になった頃 もう一度出会ってみたいな と思わせてくれる1台でした。
オーナーさんには この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
では次回 懐かしのランチア・プリズマ再開編へと続きます。つづく・・
by lancista | 2010-03-04 01:07 | Car life & event