CG Autumn Meet 2009 (LANCIA GAMMA Coupe編)
と言っても過言でない ランチア・ガンマ・クーペ!
あの自動車評論家 徳大寺有恒さんも
かつてガンマ・クーペが欲しかったけど 当時(70年台後半頃?)は高くて手が出なくて
2/3の価格だった 5ドア・ファストバックデザインの ガンマ・ベルリーナを買ったんだけど
これが不人気で 手放すとき苦労した・・
と雑誌NAVIで語っていたほど 当時は高値の華であった ランチア・ガンマ・クーペである!

正規輸入がなされなかったガンマ・クーペは この個体が初の日本上陸と思われる。
その貴重なガンマ・クーペを 細部に亘って見て行こう!
まずは・・

そのスタイリングであるが 詳細はF105Lさんのブログ:カーデザインに詳しいが
ピニンファリーナ・デザインである!
当時の フェラーリ365GT/4・2+2にも通ずる 伸びやかで直線的なラインが印象的!
でも 窓下前半の部分が少し落とし込んであるとこなんか 60年代の名残もあり優雅です。
(画像は全てクリックで拡大しますので ぜひ確かめてみて下さい)
デザインで相似形が認められるモンテカルロが キュッと締まったチーターや黒豹だとすれば
もう少し大型の ジャガーやメスライオンとかに当たるのか? 何にしてもスマートな印象。
それに比べると 同じピニンファリーナ・デザインでも トレヴィはどこか草食系っぽい。
羊の皮を被った狼を体現してるとも言い難い。リ・デザインでは制約も多かったのであろう。
エンジンは肉食とは行かないまでもヤル時はヤルと思ってるのは オーナーのひいき目なのか?

話を ガンマ・クーペに戻そう(汗)
リアフェンダーの切り欠き上部が水平基調なのと サイドモール>バンパーモールが一体となり
さらに水平で 伸びやかな印象を与えている。それで余計大きく見えるのかも?
ちなみに ベルリーナは通常の半円形アーチなので
やはり クーペならではのスペシャリティな部分なのでしょう。
オーナーに聞いても 良く訪ねられるらしいが 全長とか良く知らない とそっけない答え・・(笑)
個々の数値じゃなくて 全体を取り巻く雰囲気で惚れてるってことでしょう!
憧れが長かったりすると カタログや雑誌の記事を何回も読んで暗記しちゃうことがあるけれど
そういった経緯とは違う 実物はどんなんだろ?みたいな勢いで買ったような感じでした!
漢です!!
そうは言っても 一応数値を並べてみますと
全長:4485mm 全幅:1730mm 全高:1330mm ホイールベース:2555mm のようです。
現代の車と比較してしまうと それほど大きくも無い 頃合いの大きさに思えますが
当時としては かなり大きく感じられたことでしょう。

リアのトランクフードが凹んだデザインは フィアット124スパイダーの流れなのか特徴的です!
対米輸出を考慮してたのか 細かい技巧も施されてはいますが
パッと見は 割とスッキリとしたデザイン処理に思えます。

しかし 圧巻は内装でしょう!
ランチアのランチアたる由縁 渋センの本領発揮と言ったところ!
特に シートファブリックに
Lのロゴマークが繰り返され それでいて主張し過ぎない抑えのセンスは絶妙です。
トレヴィが 紳士服ゼニアの織りが細かいけど 手触りは思いのほかザックリした生地なら
ガンマはもっと手触りの優しい ビロードのようなモケット生地!
そして次の驚きは 座った時に訪れました!
トレヴィなんか目じゃな~い!これぞ本物のフラッグシップ!!
ゆっくりと沈み込みホールドする感じは フランス車ともトレヴィとも 相通じる類ですが
それでいて 芯があり なおかつシートの中央へと自然に導かれる感じは
割とフラットに どこでも範囲内でお好きな場所へどうぞ というトレヴィの曖昧な感じではなく
ここしか無いでしょう 極上の場所はここですよ!と言わんばかり・・
現代の 割と堅めの高級なのには座ったことがありますが
柔らかめのシートでは トレヴィはかなり上位に入ると踏んでいただけに
上には上があるもんだなぁ と感慨深いものがありました!

リアシートも高級クーペたる 分割されたリアシートデザインに 一体式のヘッドレスト!
リアシートベルトも 70年代基本設計にして標準装備。
ちなみに この個体は82年式のフランス仕様らしいので それによるものかは不明。

メーターのデザインは 四角と丸が立体的に組み合わされたもの。
この個体はシリーズ2なので シリーズ1とはインスツルメントパネルは変更されてる部分。
と言ってもシリーズ1を調べた訳ではないので 違ってたらゴメンなさい。
ステアリングとシフトレバーはオリジナルから替えられているが いつでも戻せる状態とのこと。

無理を言って トランクも見せてもらいましたが(汗) けっこう大きい容量を備えており
これなら バカンスでの荷物満載(と言ってもクーペならではの2人)でも 大丈夫そうでした。
あと この段ボール箱を開けて見せてもらったのは 新品のブレーキローター!
何でも 南アフリカから取り寄せたのだとか。
まだ eBayは英語圏でも代行で取ってもらってる身としては その熱意に脱帽なのでした(汗)


そして ガンマをガンマたらしめてる ランチア直系最後となる水平対向エンジン!
この水平対向エンジンが無ければ この低いボンネットは無理とも言われています。
2.5Lから140PSを絞り出す このエンジンは後期型インジェクション仕様。
量産車ベータ系列に採用された フィアット・ツインカムのランプレディ・ユニットとは違い
ランチアオリジナルに拘ったのも フラッグシップたるガンマシリーズの拘りだったのでしょう。
フィアットのいかなるモデルとも関連をもたない テクノロジーの結晶たるガンマは
最後の「本物」のランチアとして 今頃になって世界のランチア・エンスージアストから
認められる存在となりつつある。 との言葉も頷ける話であります。

排気管も エキマニからエンドまで ステンレス製のワンオフで作り直される等
キッチリと 手が入っています!
おまけに 触媒もツインで入れられるという念の入れようです。
私が考えていながら なかなか実行出来ないでいる現代化アップデートが
随所に施されており 色々と参考になります。
トレヴィ界隈でも トレヴィオーナーの大先輩I さんも同じくステンレスで作り直されてますが
お値段を聞くと 少し戸惑う部分ですね。
ただし 1度作ってしまえば 半永久的なだけに 安心感は絶大でしょう。
また個人的に 悩みが増えてしまいました。でも 関西で作れるとこが分かったのは大きいです。

そして 部品が見つからないのなら作ってしまえ!とばかりに
これまたワンオフで作られた車高調!
バネレートも自由に選べますし ある意味究極の回答かも知れません。
私もデルタHF4WDの時に装着してましたが 柔らかいバネを選べば 意外に乗り心地は快適!
ただ アッパーマウントブッシュも見つからなかったとかで これもピロで製作。
ここはカタカタ言うので本当はお勧めじゃないけど へたったブッシュよりは良いでしょうとのこと。
これ以外にも 新品ライトを探し出して来て HID化したり
シートも へたった運転席と新品同様の助手席の左右で 座面を入れ替え
そのうえ シート裏面の吊りゴムを全部張り直したりとか
色々と 現代化やリフレッシュが施され その情熱には頭が下がりました!
私の場合には トレヴィオーナーの大先輩I さんも居られるので 何とかなってますが
日本で唯一 これ1台であろうガンマ・クーペを 車検を取り実働で動かすまでには
自分一人で開拓せねばならぬことばかりで 並々ならぬ苦労があったことと思います!
その苦労の片鱗は オーナーのHPに詳しいので ぜひ訪れてみて下さい。
そのガンマ・クーペが 今年のランチア・ランチにはエントリーされるとのこと!
ぜひ ランチ会場で この貴重な車に触れてみられることをお勧めします!!
by lancista | 2009-11-04 22:20 | Car life & event