脱「ひとり勝ち」文明論のススメ!
体調を取り戻すべく おとなしくせざるを得ない日に読んだ本シリーズ 読破第2段です!
脱「ひとり勝ち」文明論 とは タイトルも面白かったのですが
7月の東京出張の際 ヨドバシカメラ秋葉原店の雑誌売り場に エコ特集コーナーで
ビデオ映像が流されており そのCM映像に目を留めて 手に取った本です。
なので この本も読まれずに 3ヶ月しっかりと寝かされ熟成されておりますです(笑)
なかでも 興味を持ったのは 以下の2点!
1)電気自動車に対する記述がなかなか深い
2)太陽光発電の可能性と切り口が大胆
といったところ。
まず・・
著者である清水浩(しみず ひろし:現慶応義塾大学環境情報学部教授)さんが発明した
ポルシェ並みの加速力をもつ「未来のクルマ」Eliica(エリーカ)という電気自動車ですが
この著者の8輪への拘りは 私の頭が硬いのか 理解しかねる部分がありますが
それ以外の部分では 色々と共鳴できるところが多く 参考になりました。
まず パソコンや携帯電話で標準となっている リチウムイオン電池を使うこと!
新型プリウスでさえ コストの問題からニッケル水素電池だったと思いますが
ここで 現時点で最も軽く 最高性能を引き出せるリチウムイオン電池を使い
300km/hを超える最高速度と 十分な航続距離を実現させているのです!
最高のモノを使い 普及させることでコストダウンを図り 性能とコストをバランスさせる。
日本は この分野でも先駆けているのに 何と勿体ないと書かれています。
そして インホイールモーターとすることで プロペラシャフトや駆動系の配置に悩まず
それらの呪縛から解放され 理想のパッケージやボディデザインが可能になる ということです。
エコカーの どこか我慢を強いられる閉塞感を 吹き飛ばしてくれる答のひとつだと思います。
そして 日本の技術が それを高い完成度で実現する一番近い位置に居るとも謳っています。
また そのことはメーカーの開発陣営も薄々は感付いているようだが
これほどの巨大産業となってしまった自動車産業では 関連する下請け企業から販売網
色々なものを根底から覆すことにも成りかねないので 人々の思考回路にブレーキがかかるとも。
でも うかうかしていると 中国やインドといった巨大な人口と頭脳を持った国々に
あっさりと美味いところをさらわれてしまう とも警告しています。
ハイブリッドでお茶を濁してる場合じゃない! と言うのも十分うなずける話しです。
そして もっと感銘を受けた話が 太陽光発電のお話。
地球上の地表面積の1.5%に太陽電池パネルを貼れば 世界中の70億人の人が
今のアメリカ人と同じくらいの裕福なエネルギーを使えるようになる!というものです。
この地表面の1.5%とは アメリカ全土の1/5ほどで大きいとも思えるのですが
地球上にある砂漠の7%に貼りめぐらせば それは達成できます!
と聞けば やれるかも?と思えてしまうから不思議です。
そのためには何が大事かと言うと エネルギー効率を1%や2%向上させるための研究より
どんどん量産して コストを下げていくことが最も優先されることだ!というものです。
経済の原則である学習曲線に従えば 生産量が10倍になれば コストは半分になる。
その10倍=もとの100倍になれば コストは1/4になる。
現在 太陽電池の設置コストを 20年で元が取れるとすれば
1/4で元が取れる5年になれば 皆が飛びつくでしょう!ということです。
そこで何が起きるかと言えば
2005年には世界で最大シェア55%を誇っていた太陽電池生産国だった日本が
補助金が一旦打ち切られた2006年以降 シェアを大きく落としており
2007年にはシェア22%までに下がってきています。
そんな中 うかうかしていると
国の全面バックアップを受けて シェアを伸ばしているスペインやドイツに抜かれ
生産量が伸びている国は ますますコスト面で有利となり さらに差が付いてしまう!
と言うことです。
そして そのタイミングは2~3年後や5年後では もう遅いのです!今 今なのです!
不景気で景気テコ入れが叫ばれている中 箱物でもなくダムでもなく 力を入れるのは
世界でナンバー1に立てる 絶好のポジションに居る 太陽電池産業に他なりません。
効率の1%や2%アップではなく もう実用段階は過ぎているのですから
あとはコスト競争に打ち勝ち 世界をリード出来る産業に育てて行かねばなりません!
せっかく 鳩山内閣がCO2削減25%を打ち出したと言うのに
グリーンニューディールと言われた 小中学校への太陽電池パネル設置の補正予算は
今回 停止され返還されるようです!なんと勿体ない・・
せっかく パラダイムシフトが起きようというこのタイミングで さらに後押しして
1Kw当たり7万円とかいう1割補助なんていうものでなく せめて半分くらい補助して
ばんばん量産して どんどん使う人も増えて 口コミでも伝わり 普通にある状態にする。
世界戦略の中での日本の主要産業と位置づけ 景気回復の原動力として欲しいものです!
そして その日本の基幹産業として 太陽光発電技術や電気自動車制御技術!
さらには 日本のLED照明の省エネ技術などが 世界をリードする時
そこには 欧米や中国といった狩猟騎馬民族のひとり勝ちの世界でなく
農耕民族で 昔から自然を崇め 仲良く暮らしてきた日本が抜きんでる時
世界の中で勝ち組も負け組も無くなり
先進国が発展途上国を食い物にしてた世紀は 終わりを告げ
Win-Loseでなく 真のWin-Winの関係が築ける世界がやって来るのだと そして
そこには 現地の人々や文化を大事に尊重し壊さないまま改革を進めれる
かつて今まで日本がやって来た 細やかな気配りの精神が必要とされていると
この本は 訴え希望を持たしてくれました!
本当に 鳩山さんをはじめとする民主党内閣に 既成産業や景気がどうのこうの言う前に
グランドデザインを提言するうえで もっと明るい未来を描くこの本を読んでもらいたいと
心から思いました。
そんなに難しい本ではなく 一気に読めてしまいますので
そういう分野に興味のある人は勿論 自動車やエコに興味の無い方でも
読んでみれば けっこう楽しめ 未来に希望が持てる 明るい気持ちになりますよ!
お勧めです!!
by lancista | 2009-10-22 08:19 | Eco idea