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「公会堂をもっと知ろう会」レポート!(見学編)

前々回 京都工芸繊維大学の石田教授による
「公会堂をもっと知ろう会」(講義編)を お伝えしましたが 今回は見学編です! 
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2時間にもわたる講義と質問により 見学会は午後4時からスタートとなりました。

まずは・・ 



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山陰で建築史と言えばこの方 米子高専の名誉教授 和田先生による
公会堂の成り立ちや外観の特徴を 外部から説明いただきました!

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100名強の講義参加者のうち 8割位の皆さんが残られて
熱心に説明を聴いていたのが 印象的でした! 

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続いて 内部へ入り 特徴的なホワイエで 今度は
建築史界における若きエース 米子高専の藤木先生が説明!

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ホワイエの天井部分は 観客席2階部分床と兼用になっており コンパクトで合理的な設計です!

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ブラジルの教会からヒントを得たと言われていますが 理論的で整然とした所とか
ステンドグラスではないにせよ 天井まで取られた大きな窓が その名残なのかも?

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商店建築で 大衆の心を掴む術を体得した村野氏が 好んで使う手法であるところの
手工芸的な優しさや柔らかさを 目に付く所に配置し 厳しくなりがちな公共建築を
距離感をグッと近づけ 人々(一般市民)のものにしてしまう!

そんなパーツのひとつである 蛍光灯を4面アクリル板で覆い それを組み合わせた照明!
このホワイエの少し緊張した雰囲気に どこかホッとする安らぎを与えています!

よ~く見ると そのアクリル板とて同じではなく 外側の3面は細かいマット仕上げですが
内側の1面は 大きい目のすりガラスというか 透明に近いものでした!
単なるデザインなのか? はたまた玉切れを見つけ易くする機能から選ばれたデザインなのか?
このようなものにまで 抜かりは無く 魂は細部に宿るを実践されています!

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同様に ドアの引き手のデザインも 1958年とは思えぬモダンな感じ!
アクリル板を曲げて それを手工芸的な温もりの残るダイキャストで留めてありました。

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そのドアを開けて いよいよホールの中へと入ります!

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私も ここへ入ったのは久々でしたが 3階最後部まで 直線距離にして30mとは
現在のホールにあっても かなりの距離だそうです。

でも 生音がマイクなしで 最後列まで気持ち良く届く!という事実は
CADとかも無い時代 数多くのホール建築を手掛けてきた 村野氏だからこその部分でしょう!

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客席の椅子も小振りで 現代の感覚では もっとゆったりと座りたいところですが
その狭さが 熱気を増幅させ 気持ちのよいコンサートを演出するんだよ!と
歌手の谷村新司さんも ラジオで喋っておられたそうです。

新しいとか立派なだけが この世の価値だとしたら 寂しいですよね。
音が染み付いている このような古いホールには そこにしか無い価値があると思います!  

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1980年の大改修が行われた際も 長寿であった村野藤吾氏本人が携わったそうです。

その中でも 1958年の戦後間も無く 物資の少ない時代に建てられた米子市公会堂。
1980年という高度経済成長を終え 物が潤沢にあり選べる時代に大改修したとあって
音響に関しては かなり手が加えられたと言います。

その代表的なものが 緩やかにカーブを描き 木目が印象的な天井部分!
改修前は良く覚えてないのですが 穴の開いた石膏ボードが貼ってあったような気もします。
それから比べると かなり立派になり 事実 音響的にもかなりの改善が見られたようです。

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大きな空調ダクトの吹き出し口や 埋め込まれた照明も 綺麗にデザインされています!

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鳥取市民会館も このほど耐震改修等を終えて 来週リニューアルオープンするようですし
鳥取市民会館は 半額は国庫補助金とかを巧く使っておられるようです。

あと 鳥取市民会館に習って学んで欲しいのは
2次元計算で悪い数値が出たので 3次元計算で耐震診断をやり直したところ
耐震性能がけっこうあったようで 最終的には 3億7700万円の改修費で済んだそうです。

せっかくの村野藤吾建築であり 日本公共建築100選にも選ばれた米子市公会堂ですので
ここは是非 オリジナルの良い部分を残して 設備の現代化や耐震性能向上によって
デザインはそのままで当時の面影を残しつつ 安全で快適に 生まれ変わらせて欲しいですね!

7月28日の議会提出に向けて 引き続き署名を募っておりますので よろしくお願いいたします。

by lancista | 2010-07-25 00:00 | YONAGO Public Hall  

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